“KOD”ポリメラーゼに対する認識の世代間格差?

TOYOBOが販売しているPCR用の耐熱性DNAポリメラーゼに「KOD DNAポリメラーゼ」というものがあります。正確性や伸長性が高いということで利用価値が高く、この改良版が次々と販売されてきました。

KOD -plus-、KOD -plus- Ver.2、KOD FX、KOD FX Neo、KOD -plus- Neoなど。私の研究室では、KOD -plus- Neoを主に使っています。正確性に関しては、私たちの使い方ではエラーにしばしば悩まされるのでパーフェクトとは言えないのですが、それでも増幅効率が大変よいので大変重宝しています。

今回のエントリーはこの酵素の良し悪しではなく、名前の由来についての話です。

この酵素、私の記憶が確かなら、20年くらい前に販売になったのですが、その当時この酵素の宣伝のチラシに、「KOD polymerase = King Of DNA polymerase」と書いてあったと記憶しています。私は研究室のメンバーとこのネーミングについて話をした記憶が確かにあるのです。

その後、留学などで幾つかラボを変わった後、自分たちのプロジェクトのために最も適したPCR用酵素を探していて、KOD -plus- にたどりつきました。そしてある時、このKODの発見者である今中忠行先生の公演を聴く機会があり、そこで驚くべき事実(?)を知りました。

KODって、その酵素を持っていた超高熱菌Thermococcus kodakaranesis KOD1株の名前に由来してたんだと。そしてこの菌の名前は、鹿児島県の小宝島の硫気孔から見つかった事に由来していたんだと。要するに、KODの意味するところは「KODakara」だったわけです。

その時に、記憶との齟齬があった私は、とりあえず「King Of DNA polymerase」というキーワードでネットを検索してみました。ですが当時は発見できず。KODの説明には、上記の由来しか見当たらないのでした。

私の記憶違いかしらと思っていた昨日、岡山に来ていただいた千葉大学のM先生とビールを飲んでいる時に何かのきっかけでその話になり、M先生も確かに「KODとは、King Of DNA polymeraseのことだ」と記憶されていたのでした。そして、今だにそう信じていて学生にはそう説明しているとのことでした。

うちの研究室の学生たちにその話をするとみんな逆に驚き、「King Of DNA polymerase なんて話聞いたことない」というのでした。

いずれにせよ私の記憶はやっぱり間違っていなかった。ということで、この「世代間格差」は、ここで紹介するに値する話じゃないか、ということになった次第です。

で、今ウェブを検索してみると、TOYOBOの情報誌UPLOADの100号(2013年1月号)に、まさに当時(1995年だったようです)「King Of DNA polymerase として宣伝していた」という記事が見つかりました。

使っている酵素の名前の由来なんて、どうでもいいと言えばどうでもいいことなのですが、もしかしたらまだ、King Of DNA polymeraseだと信じている人もいるかもしれませんので(信じていてもまったく実害はないのですが)。

 

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