細胞周期のダイナミクスは「鹿威し原理」で動いている、という話。

Research Gateという研究者のコミュニティーサイト・データベースがあり、私も登録しています。

Research Gateからは、論文の引用があったりするとメールで知らせてくれるのですが、先日、「Congratulations, you’ve been ackwouledegd for your contribution to an article」というメールがきました。「論文の謝辞に名前が載っているよ」、ということです。論文の著者が載せる時に知らせる義務がないこともあり、「知らない間に感謝されてた」ということもおきえます。

今回のケースはそれで、Research Gateに共同研究者がアップロードした以前の論文で私の名前が謝辞に載っているということを、Research Gateが見つけてくれて、知らせてくれたということのようです。謝辞に名前が載ること自体は、もちろん名誉なことではあるのですが、大したことではありません。ただ、今回はその謝辞の一文が少しかわってました。

We are grateful to Hisao Moriya (Okayama University, Okayama, Japan) for pointing out that the mechanical device in our publication [24] is called Shishi Odoshi in Japan.

この文章をみて、私は10年前のエピソードを思い出し、それに謝辞として(知らず知らずに)答えてくれていた共同研究者に関心し、嬉しくなりました。

10年前、当時共同研究していた Attila Csikasz-Nagy が私たちの前でセミナーをした時、以下の論文の話をしました。

1. Irreversible cell-cycle transitions are due to systems-level feedback. Novak B, Tyson JJ, Gyorffy B, Csikasz-Nagy A. Nat Cell Biol. 2007 Jul;9(7):724-8. PMID:17603504

そこで彼は、真核細胞の細胞周期のダイナミクスー特に細胞周期のM期終了からG1-S期が再びスタートするまでの不可逆性を説明するために、以下の(奇妙な)装置を使って解説していました。

細胞周期のダイナミクスを説明する奇妙な装置

細胞周期のダイナミクスを説明する奇妙な装置(論文1 Figure 1)

で、私はこれを見て、「これ、日本の伝統的な庭にある鹿威し(Shishi-Odoshi)というものと同じだよ」と彼に指摘したのです。

私自身、その当時細胞周期のダイナミクスに興味を持っていて、Attilaやその師匠の Bela Novak の論文を何度も何度も呼んでいて、「このダイナミクスは鹿威しと同じだ」とずっと思っていました。それを、彼に会った時に直接言えて良かったとその当時思ったのを憶えています。

で、その指摘がどう発展してかはしらず、月日は流れ・・・。先日、Research Gateからのメールで、上記の装置がちゃんと「鹿威し化」された論文が発表されていたということを知ったというわけです(以下)。

2. Systems-level feedback in cell-cycle control. Novák B, Vinod PK, Freire P, Kapuy O. Biochem Soc Trans. 2010 Oct;38(5):1242-6. doi: 10.1042/BST0381242. Review. Erratum in: Biochem Soc Trans. 2010 Dec;38(6):1723. PMID:20863292

鹿威し原理で動く酵母の細胞周期

鹿威し原理で動く酵母の細胞周期(論文2 Figure 3)

私の指摘にちゃんと答えてくれていたんだと言うのがわかり、とても嬉しくなったとともに、「Research Gate 侮れず」、と思ったエピソードでした。

 

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