「モデル」としてすばらしいリボソームの3Dモデル

このブログではこれまでもいくつか3Dプリンターで作ったタンパク質のモデルを紹介してきました。最近も講義の一環で色々と打ち出していたのですが、いよいよ辿り着いたのがリボソーム。ただ、リボソームは細胞の中でも最も大きな構造体であり、プリントするもの普通のやり方(?)ではうまくいきません。

PDBからダウンロードしたpdbファイルを開いて、Surfaceモデルを作るのにもいつも使っているUCSF Chimeraではエラーが出てしまい、有料のPyMOLを(試用期間で)使ってwrlファイルを作成しMeshLabでstlファイルにして3Dプリンターに読み込ませるものの、大きすぎてメモリエラーがでてプリントできないという事になりました。

私はいつもタンパク質のモデルを「1/2スケール」と(自分が勝手に)呼んでいるスケールで打ち出しています。PDBからダウンロードしたモデルをプリンターソフト上で0.5倍にして打ち出すのです。こうすることで、打ち出したすべてのタンパク質が同じスケールで比較できるため、実際の細胞内の状況を想像しやすくなります(あと、個人的にはこのスケールで打ち出すのが一番美しいと思っている)。というわけで、リボソームもどうしても1/2スケールで打ち出す必要がありました。

結局試行錯誤の末に行き着いたのは、1)そもそも小さな原核細胞のリボソームを打ち出す(今回は葉緑体のリボソームを打ち出しました)、2)サブユニットに分けて打ち出す、という2点でした。結果としてはサブユニットに分けたことで打ち出すことができたので、もしかしたら真核細胞のリボソームもこの方法で1/2スケールで打ち出せるのかもしれません。ただ、葉緑体リボソームを打ち出す労力が半端なかったので今現在は試す気がしませんが。

使ったのは、ほうれん草の葉緑体のリボソームの30S50Sサブユニットのデータです。相当大きいので1つのサブユニットでほぼ丸一日かかりました。その後のバリ取りでまた一日くらい。しかし!出来たものはこの労力に値するものでした。これはすごい、「いいモデル」です!

何がすごいかって?

文章で書いても伝わらないので動画を撮りました。動画のこのテンションでは凄さが伝わらないって話もありますが、興味がある人は見てみて下さい。このモデルの価値、伝わる人には伝わることを祈ります。

ちなみにこのモデル、夜光のマテリアルを使っていますので、周囲を暗くすると光ります。これはもうインテリアとしても最高かと。

ところで、このリボソームの写真をTwitterに上げた時に「右上にある髷のような構造の機能は何?」とM先生に尋ねられました(少し見にくいですが上の写真では右上のこぶのような構造)。元論文を読んでみましたが、これは30Sサブユニットのfootにあたる構造にあるcS22というタンパク質がくっついているストークで、葉緑体のリボソームに特異的に見られるタンパク質(が作る構造)のようです。

リボソームの50Sサブユニットの方には、L1ストークやL7/L12ストークのように、そこを動かしながらtRNAをリボソームから追い出したり、EF-Tu-tRNAをリボソームに誘い込んだりする、機能が分かっているでっぱりがあります。一方で、このcS22のストークは機能は良く分かっていないようです。葉緑体特異的な何かを結合するのかもしれません。

 

(Visited 152 times, 1 visits today)

1 Comment

  1. As

    GFPタンパク質を横において写真撮ると感覚的にリボソームの大きさが分かって良いかもしれませんね

    Reply

Leave a Comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください