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「冗長な遺伝子」の役割

一般的に機能がオーバーラップしている遺伝子(冗長な遺伝子)は、片一方に変異がおきたときのバックアップだと考えられています。それは本当なんでしょうか?

大野乾氏は、このような遺伝子の重複が、多様性にむけた進化の可能性を広げる源になるという説を発表しました。このような遺伝子重複によって生じた遺伝子はパラログと呼ばれていましたが、現在では大野氏の名前をとって、オーノログとよんでいる論文を良く見かけるようになりました。

一般的にある遺伝子を破壊したときに、その遺伝子がないにも関わらず細胞の機能が維持されている場合には、何らかのバックアップが働いていると考えるのが普通です。そのバックアップは、遺伝子重複によって生じた「冗長な遺伝子」が行っているものと、全く別の遺伝子群からなる他の経路が行っているというものが考えられます。

ただし、完全に機能が同じ遺伝子は進化の過程で速やかに失われる事が知られています。

話がそれますが、これは鉄道網をアナロジーとして理解することができます。全く同じ場所に停まる別々の鉄道会社の運営する路線があったとして、運ばれる乗客がそれぞれの会社の収益を満たすほど多くなければ、競争の結果どちらかの路線はほぼ間違いなくなくなってしまうでしょう。お互いに停まる場所を変えたり、急行列車を走らせるなどして戦略がかぶらないようにする事で路線を維持することができる訳です。

これと同じ事が遺伝子にも起きます。機能が完全に重複した遺伝子は速やかに失われるか、(オーバーラップはしていてても)互いに違う機能を持つように変化していきます。

これを調べるのにとても役に立つもモデル生物がいます。それが出芽酵母(S. cerevisiae)です。この酵母は太古にゲノム全体が倍化した痕跡が現在のゲノムに残っています。

 

Kafri R, Dahan O, Levy J, Pilpel Y., Preferential protection of protein interaction network hubs in yeast: evolved functionality of genetic redundancy., Proc Natl Acad Sci U S A. 2008 Jan 29;105(4):1243-8.

 

Kupiec M, Sharan R, Ruppin E., Genetic interactions in yeast: is robustness going bust?, Mol Syst Biol. 2007;3:97.
"Taken together, these results show that backup relations are not simple all-or-none phenomena, but intricately vary in a complex, context-sensitive manner."

 

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2008-11-18 (火) 00:00:00