酵母の増殖速度をハイスループットに取得する方法
私たちは一度にたくさんの酵母菌株の増殖を測定するために、マイクロプレートリーダを使った自動測定を行っています。このページではそのやり方、いくつかのTipsを紹介します。
- 測定に用いるマイクロプレートリーダ(バイオラッド X680R)
下が培養に用いているマイクロプレートリーダです。これを一般的なノートパソコンに接続して、30分おきに50時間の連続測定を行います*1 。
- ノートPCとプレートリーダの接続
通常このプレートリーダとPCとの接続はR232Cというインターフェイスを用います。ただしこのRS232Cポートというのは、最近の小さなノートPCにはついていません。そこでバイオラッドでは、USB-RS232C変換ケーブルを販売しています*2。ところがこのケーブルを使って長時間測定をしていると非常に高頻度でコネクションのエラーが発生します*3。
そこであれこれ探して見つかったのが、RS232C-PCカードです。これを3台のプレートリーダへの接続に用いていますが、エラーが発生したことはありません。
- マイクロプレートのフタの曇り止め
マイクロプレートで微生物を長時間培養していると培地が蒸発してしまいます。200μL程度の培地では一晩で乾燥してしまうことすらあります。そこでマイクロプレートにフタをして培養するわけですが、今度は培地が蒸発してフタを曇らせてしまうのです。これでは正確に吸光度の測定が出来ません。そこでいろいろ試して一番良かったものが、水泳のゴーグル用の曇り止めでした。これをフタに塗り塗りして、純水で一度洗浄して使います。
一応、天然成分で細胞に悪影響はないということになっています。目に近いところで使うものですのでそのあたりは注意して作られているのだと思います。酵母の培養では今のところ悪影響は見られていません。50時間以上培養してもフタが曇ることはありません。楽天・ヒカリスポーツから購入することが出来ます。
- マイクロプレートリーダで測定した増殖曲線
下のグラフが取得したデータそのままです。守屋が大学院生の時は1時間おきとかに、培地を少しずつとって吸光度計で測定したものでした。酵母がなかなか増えてくれずほぼ徹夜状態になり、うっかり寝てしまって測定ポイントが抜けてしまったりもしたものでした。
- 最大増殖速度の算出法
増殖曲線からちょっとした統計処理で最大増殖速度を算出します。測定データにはノイズが入ることがありますので、移動平均を使いながら、なめらかな増殖のデータが得られている部分の最大の速度を算出します(算出方法はこちら。
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2013-09-30 (月) 13:00:00