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*負のフィードバック:ホメオスタシスと振動 [#x49c04a4]
負のフィードバックでは、応答は信号の効果に反対に作用します。Figure1gにあるように、応答要素 R は自身の合成を触媒する酵素を阻害します;したがって R の合成速度は R の S字減少関数となります(この場合S字になるのは E の制御にGoldbeter-Koshland関数が使われているからです)。この場合の信号は R の需要 - つまり k2SR によって与えられる R の消費速度です。信号強度が広い幅で変化しても、R の定常状態での濃度は狭い範囲に制限されています。これは R の供給が自身の需要に応じて調節されるからです。この形の制御は生合成の経路に広く用いられており、ホメオスタシス(homeostasis)と呼ばれています。これは不完全な適応の一種ですが、S の段階的な増加が R の一過的な変化をもたらさないので、先ほど述べた検知器にはなりえません。

負のフィードバックは振動応答を引きおこすことも出来ます。2成分の負のフィードバック X → R -| X は、持続的振動を起こさず、減衰振動を起こし定常状態になります (43) 。持続的な振動のためには少なくとも3つの成分が必要となります。つまり、X → Y → R -| X です。3つめの成分(Y )はフィードバックループ(環)に時間遅れを導入します。これが制御システムの定常状態を繰り返し上下させる原因となります。

Figure2a(左)は、負のフィードバックループによる制御の配線図です。中間的な信号強度では、システムは、変数 X(t), YP(t), RP(t) の持続的な振動をつくります(Figure2a(中央))。信号-応答曲線(右)では、 RP,ss を S の関数としてプロットしました。Scrit1 < S < Scrit2 では定常状態の応答は不安定であることがわかります。この範囲では RP(t) は RPmin と RPmax (それぞれ下側と上側の黒丸)の間を振動しています。先の章で専門用語として紹介したように、SMcrit1 と Scrit2 は分岐点です。分岐点では定常状態の応答が安定性を変化させ、「ホップ分岐(Hopf bifurcation)」と総称されるような機構によって振動が発生します。S がどちらかの分岐点から遠ざかるにつれて振動の幅が増加します。

負のフィードバックは蛋白質合成 (44) や、MPF活性 (45) 、MAPK信号伝達 (46) 、あるいは概日リズム (47-49) での振動の原理であると考えられています。

負のフィードバック振動子と同様な理論的着想から、Elowitz と Leibler はループの中でそれぞれが抑制を行うような3つのオペロンからなる人工の遺伝子ネットワークをデザインしました (50) 。持続的な振動を起こすのに必要な条件を理論的に満たすために、かれらは3つの蛋白質がともに不安定で、だいたい同じ程度の半減期を持つように改変しました。3つのプラスミドを持つそれぞれの大腸菌は、レポータである蛍光蛋白質が周期的に発現し、文字通り「点滅灯(blinker)」となりました。 

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-負のフィードバックによる振動のモデルのダイヤグラムとSBMLファイル~
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