2025年1月、ちょっと守屋研究室の歴史を振り返って、未来を考えてみようと思う。遺伝子つなひき(genetic Tug-Of-War:gTOW)法という、研究室の中心的実験法が最初に発表されたのが2006年で、もうすぐ20年(!)、出芽酵母のゲノムワイドgTOW(gTOW6000)の論文は2013年(10年ちょっと)、適応系(ADOPT)が2022年である。ここら辺で少し守屋研の歴史、というかgTOW関連研究の歴史を振り返って、今後どういう風に展開していくつもりなのかを書いておこうと思う。ほとんどの人にとっては役に立たない、守屋の自分語り(あるいはナラティブ)だが、誰かは読んで何かを感じるかも知れまい。
いろいろまとめてきて思ったこと、というか守屋研のテーマのポリシーは以下になるのだろう。
- 概念実証:こんな新しい実験をするとこんな面白いことが分かるぞ、ということをやる。
- 枯れた技術の水平思考:使い古された技術の転用によりコストと手間を下げる。「職人芸」にならないようにする。
- 創造的な怠惰・戦略的な簡素化:ハードワークは突破するには必要だが、それが継続的に必要にならないよう考える。酵母の遺伝学を駆使して、面倒なことは酵母にやらせよう。
第1部:ロバストネス解析としてのgTOWーはじまりから完成まで
gTOWはどのような発想から生まれ、どのようにして現在の姿になったのか。その古の姿が語られる。
第2部:ロバストネス解析としてのgTOWー発展と終わり
gTOWはロバストネス解析のために作られた。そのためのツールとしてgTOWは発展したが、ロバストネス解析としてのgTOWは封印された。それはなぜか?
第3部:gTOW6000プロジェクトー量感受性遺伝子の体系的解析
gTOW6000プロジェクトはgTOW研究の金字塔だ。だが、プロジェクトを終えた守屋研は行き詰まりを感じることになる。
第4部:いろいろなgTOW
gTOWには様々な派生系が存在する。それらは成功したものもありうまく行かなかったものもある。それらの代表的なものを紹介する。
第5部:量補償ーgTOWの弱点から始まったプロジェクト
守屋研が新たに動き出す契機になった量補償プロジェクト。それは、gTOWの弱点への反抗から始まった。
第6部:タンパク質暗黒面プロジェクト
現在まで続くリソース過負荷・タンパク質負荷プロジェクトはどのように始まり発展したのか、そしてどこに向かうのか? もっとも「ロックなプロジェクト」がここにある。
第7部:酵母補完計画:ADOPTと応用展開
gTOW6000コレクションを蘇らせたADOPTはどのように生まれ発展したのか? その開発の歴史と応用展開について。守屋研の技術開発の理念も語られる。
番外編(1):細胞の数理モデルとロバストネス解析について今思うこと
番外編(2):産官学連携についてのスタンス
講義「たんぱく質の発現の乱れが引き起こす細胞機能への影響」
奈良先端科学技術大学院大学の講義動画(2020年版)です。守屋研での研究のコンセプトがほぼ全て紹介されています。