酵母研究のゴールデンエイジ

私がセントルイスに留学したのは、今から10年ほど前になる。このとき、私の留学先のボスであるMark Johnstonは、酵母の学会で賞をとった。その受賞講演で彼は、「酵母のゲノムが決まり、すべての「遺伝子」が同定され、様々なゲノミクスの手法によってすべての遺伝子の機能が分かったとき、酵母研究はゴールデンエイジに入る」と語った。

既存の分子遺伝学の枠組みにとらえられており、酵母研究の将来に希望を抱いていなかった私と同僚のポスドクは、この言葉を「政治的な発言」ととらえていた。

最近になって、この言葉をふと思い出し、彼が当時書いた、この講演と同じような内容のレビューを読んでみた。そして、彼が10年前に予言した酵母研究のゴールデンエイジが、「システムバイオロジー」という分野とともに、今まさに訪れようとしていることを感じた。

Mark Johonstonは、システムバイオロジーをやっているとは言わないし、そのような言葉は使わない。しかし、彼が述べている、すべての遺伝子の機能とその相互作用が分かったとき始めて、(システムとして働く)細胞の理解が分子レベルから一貫して可能になる、という考え方は、まさにシステムバイオロジーそのものである。

彼の言っていたゴールデンエイジを私に理解させたのは、「システムバイオロジー」という言葉を使ったパラダイムシフトだったのかもしれない。

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