2011-06-272011-06-27 酵母での配偶子形成は、老化による細胞のダメージを取り除き、寿命をリセットする Gametogenesis Eliminates Age-Induced Cellular Damage and Resets Life Span in Yeast. Science Vol. 332 no. 6037 pp. 1554-1557 DOI: 10.1126/science.1204349 poccopen氏がTweetされていた論文。Angelika Amonグループからの論文(こんな事もやっている・・・恐るべし)。 細胞の分裂回数というのは決まっていて、これは複製寿命と呼ばれているものであるが、出芽酵母にも存在している。出芽酵母は、母細胞と娘細胞が区別しやすいので複製寿命を調べるのに良いモデル生物である。 この論文では、老化して寿命(余命?)の短くなった細胞と若い細胞の両者とも、配偶子の形成を終えるとまた「若返り」しているという事を発見している。この「若返り」のプロセスには、配偶子形成時に働く転写因子(IME1やNDT80)が活性化する事が十分条件であり、栄養条件下での細胞(高等生物では体細胞にあたる)で、NDT80を発現されると寿命が延びる事が観察された。 この研究の重要性は、「配偶子形成による若返り」という、非常に古くから現象としては「何となく」理解されていたことを定量的に解析し、かつ分子機構にまで迫りはじめたという点にあろう。 現在、出芽酵母での寿命研究はブームとなっている。日本の酵母の学会でも、気鋭の若手PIはこぞって寿命研究に参入しているように見受けられる。他の生命現象でもそうであったように、酵母を用いる事で「寿命」という生命現象の基本原理がつぎつぎと明らかになっていくのだろう。 Share on FacebookTweet(Visited 986 times, 2 visits this week) 更新記録