Gather.townで100人規模の研究会を行った

先日、地方の研究会の幹事を仰せつかった。これをGathter.townで行ったので記録として残しておこうと思う。

Gather.townでの学会(特にポスター発表)はそれなりの学会で行われているが、ゼロから立ち上げて会を運営したらどういうことになるのか、ちゃんと分かる記事はほとんどない。パンデミックが収束すればオンライン学会も過去のものになるかもしれないが、同じことをやってみたいと思っている方の参考になるかもしれないので、(ブログの趣旨とは違うが)残しておこうと思う。なお、Gather.townが何か分からない人はとりあえずこのエントリーの対象ではありません。

Gather.townを選んだ経緯

この研究会はオーラルによる研究室紹介とポスターセッションから構成されている。特に学部生や修士学生のポスター発表が中心の研究会で、参加する学生はほぼ全員が発表する。特に、「交流」が大きな目的の研究会である。パンデミックにより昨年はキャンセル、今年も対面開催は無理だと思われ、「これをオンラインでどうにか開催できないか?」と私に幹事の依頼が来た。

オンライン学会でのポスターセッションでよく行われるやり方は、ポスターがずらりと貼られたサイトにZoomのリンクがあって、そこをポチっては発表者を訪れ画面共有でプレゼンしてもらうもの。先日の国内学会もそうだったので、それをどうやっているのか尋ねたら「外注している(10万円?)」とのこと。で、「連絡先を教えて欲しい」とお願いしたのだがなかなか返事が来ず・・・としているうちに、以前の国際学会ではポスターセッションがGather.townだったことを思い出した。その国際学会ではほとんどポスターを聞くことはなかったのだが、ポスター中心の内輪の研究会ならこれがベストなんじゃないかと思い始めた。

Gather.townは一度遊びで使ったことがあり、どんな機能があるかはだいたい把握していた。会場もだいたい自分で作れることを確認、参加費は25名以上でひとり一日3ドル(300円強)。というわけで、「今年はポスターセッションはGather.townでやる」と宣言した。この時、口頭発表はZoomの予定だった。

参加者数が分かり、会場を作り始める

参加人数とポスター発表の数が確定したのは会の開催の1ヶ月程前。参加者は150名、ポスター数は100題だった。ここから本格的なオンライン会場の設営(というか構築?)が始まった。Gather.townには一応、色々な会議用に使えるひな形がある。「ポスター部屋」もあって、それを転用することも可能ではある。しかし、それらは必ずしも自分たちの意図するイベントの雰囲気や規模に合っている訳ではない。ということで、わたしはゼロから構築することにした。

入り口としてラウンジを作りそこに参加者へのアナウンスを張る。

研究会の入り口(Lounge)。中央の4つのポスターでポスターの作り方やGather.townのトラブル回避について説明している。

100題のポスターは4つの部屋に25題ずつ分ける。ポスターボードを張り、ポスターの周辺は「Private Area」にして周辺だけ話が聞こえるようにする。ポスターには発表者から送られてきた画像を貼り付ける。

Poster room の Mapmakerでの画面

当然の仕様として、1つ部屋を作ればあとはそれを複製することで4つのポスタールームができる。10個作るのもへでもない。現実だとポスターが100個張れるスペースを用意するのはとても大変で、たいていの場合、初日/2日目などでポスターの張り替えが必要となる。しかしバーチャルではそんな必要はない。これは大きな強みだ。

あとは懇親会場。これはGather.townで用意されていたひな形を転用した。

さらに、実際に少しテストで動かしてみて、「いっそのこと口頭発表もGather.townでやってみよう」と思うに至った。Gather.townには講演会場のひな形がある。前に演壇があり、椅子がずらりと並んでいる。最初これを使おうかと思ったが、どうも雰囲気に合わない。そこでやっぱり一から作ることにした。

作ったのがこれ。ステージを真ん中に配置して、参加者は絨毯にすわる(つもり)。発表になったらステージに立って発表する。

口頭発表会場。ステージを「Spotlight」にすることで、ステージ上の声が会場に聞こえるようになり画面共有もできる。

最終的な会場の見取り図はこんな感じ。

参加者にリハーサルをしてもらう

Gather.townはそれなりにクセのあるアプリなので、参加者に操作に慣れてもらう必要があった。そこで、実際の会場を使ってチュートリアルを行った。その際、画面共有や音声接続のトラブルなどがあった。この解決法をLoungeにはり、メールでもアナウンスした。無料では25名までしか入れないので研究グループの代表者にのみ説明会を行った。参加したグループ代表はほとんどが学生だった。

本番のリハーサルを行ってもらうために、会場のコピーを5つ作り練習会場とした(ポスターは貼らず)。会場内のアナウンスで予約をしてもらうとしたが、アナウンスはスペースのModeratorしかできないことから、結局メールで予約を集めることにした。今考えれば全体Chatで予約してもらったら良かったのかもしれない。

Gather.townはクセのあるアプリなので(2度目)、このリハーサルは必ずやっておいた方が良いと思う。

ポスターを集め、貼る

Gather.townのポスターは近づくとプレビューが見え、xボタンを押すと全画面に拡大される。プレビューは上の方しか見えない。Gather.townでのポスター表示ではPDFは許されておらず、jpgかpngフォーマットである必要がある。

ポスターに近づくとプレビューが見える。x ボタンを押すと拡大される。

諸々のことを考えて、ポスターの作成は以下のような仕様で行ってもらうよう依頼した。

  • PC画面で見やすいように横長を推奨します(16:9など)が、縦長でも構いません
  • 上部にポスター番号、タイトル、演者が分かるように大きく書いてください(プレビューが見やすくなります)
  • 画像解像度は 72 dpi 以上(拡大してもPC画面で見られる解像度)
  • jpg か png フォーマット、ファイルサイズは 3MB 以下で作成してください
  • ファイル名は、「ポスター番号_名前_グループ」のようにしてください。

本番の一週間前までに参加者にポスターをアップロードしてもらった。これは無料のアップロードサービスを利用した。アップロードされたポスターを一枚ずつボードに貼っていく。Mapmaker画面(2枚目の図)でボードを選び、「ファイルを選択」する。プレビューと本画像を両方貼る。この作業は若干面倒くさいので学生さんにバイトをしてもらった。

ポスター発表は、貼ってあるポスターで行っても良いし、画面共有で行っても良いとした。

貼ってあるポスターは、ポインターは聴衆と共有できるのだが、拡大/縮小は共有できない。なので、見やすい大きな文字で作り、どこを示しているのかをわかりやすく作れば貼ってあるポスターでのプレゼンも可能だろう。ちょっとコツがいるのは確かだ。

ポスター会場で、ポスター賞投票(Googleform)へのリンクを掲示、会場アナウンス、チャットでのアナウンスも行った。Gather.townの問題はリンクを会場に掲示しにくいこと。アナウンスは見過ごされる可能性があるので、ポスターなどで貼り付けたいのだが、画像化されてしまう。リンクも張れるのだがセキュリティの問題で拒否されることも多い(Googleformがそれ)。これは、「リンクが書いてあるGoogledocsへのリンク」という技でクリアした。

さあ本番!

研究会は午前中に口頭発表、午後にポスターセッション、そのあと懇親会を行った。参加者はみな思い思いに着飾ったアバターで参加していて賑やかな雰囲気。アバターだが100人以上が1つの会場に集まっている感。これはZoomではだせない。

口頭発表:やはり接続トラブルが時々起きて順番が入れ替り時間も押した。Zoomと比べ画面共有が少し分かりにくい。けれど、対面での口頭発表も時間が押すのは常だしまあ想定の範囲内だった。

1点注意として、Gathter.townではアバターが集まっていると邪魔になって先に進めない。会場入り口にアバターが止まると会場に入れない人が出てくる(まるで現実のように)。「g」ボタンを押すとゴーストモードになって人をすり抜けることができる。参加者に周知しておきたい裏技だ。

ポスターセッション:実際のポスターのようにどこに人が集まっているか一目瞭然なのはよかった。逆に「ぼっち演者」が見えたりして少しかわいそうではあった(私はそういうのを積極的に聞くようにはしたが)。「会場にいる感」があるためだろう、参加者のほとんどが4時間の間ずっと色々なポスターを聞き続けていた。これは、ポスターごとに入ったり出たりを繰り返し他の人の動きが分からないZoomでのポスターセッションと違う大きなメリットだ。会の性質もあったのだろうが、ポスターセッションは実際に近い雰囲気がだせたのではないかと思う。「交流」という一番大事な目的が果たせた。

懇親会:ほとんどの参加者がお酒が飲めないところ(職場)からの参加ということもあり、最後まで残っていた人はごく少なかったが、残っていた学生はみんな「Ghostアバター」になっていたりして、それはそれで面白かった。

部外者の乱入?

Gather.townのイベントでは、参加者のログイン用メールアドレスをあらかじめ集め、参加者を制限することができる。今回もそれをやろうと思えばできたし、そんなに大きな手間ではないのだが、今回はやらなかった。会場のURLは限定のメーリングリストでしか流さなかったこと、参加者がなるべく制約なく会場には入れるようにしたかったからだ。そうなると部外者が紛れ込むというリスクが生じるのだが、先に呼べたようにURLがリークしなければそれはないだろうと考えていた。

ところが、口頭発表中に英語名のアバターが明らかに変な動きをしながら会場内をうろついていた。この会では参加者に「名前と所属」を表示するように伝えていたので、Chatで所属を書くように英語で警告したが応答がなかったのでBanした。それ以降はその人物(?)は現れなかったのだが、どうやって紛れ込んできたのだろうか。

最後に感想

今回のGather.townを使った研究会、うまくハマったと思う。

その理由は2/3が若い学生さんだったことだろう。学生さんたちはアバターをはじめ色々なオプションを自分たちで見つけてそれをシェアして楽しんでいた。これがGather.townの良さといえる。会場内にゲームも設置したが、これはやってもらえなかったようだ。

研究会にはこういう遊びも付いてくるべきだと私は思っているので、このツールはそういう意味では今現在ベストな選択だろう。ただ、「もう一回これでやったら今回以上に盛り上がるか」といわれたらそれはよく分からない。ツールになれるかわりにツールに飽きるからだ。ただ、真面目な研究会の場として持続するにもこのツールは悪くない選択だろう。しかし、交流という意味で対面に勝てないのは間違いない。真面目な発表のあとに(アルコールを入れて)だらだらと話をすることで得られることも大きい。

一方で、研究発表を気軽なものにしてくれていることも否定できない。バーチャルであることで、丸一日の口頭発表と100題のポスターセッションが5万円程度で行える。旅費もかからない。学生たちがたくさんの研究仲間の前で発表する機会を容易に与えてくれた。これはこれで対面の研究会ができるようになっても維持していいフォーマットなのかもしれない。一度つくってしまえば、何度でも同じ会場が使えるのもGather.townのメリットだ。

私はかつて対面で開かれたこの研究会の幹事をやったことがあるが、その労力・コストに比べたら1/100位なんじゃないかと思ってしまった。

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