2017-03-172017-08-09 ウエスタンブロッティング、自動化への道(その1) ウエスタンブロッティングー標的のタンパク質がいろいろな条件でどれくらい作られているのかを示す事に使われたりします。 分子生物学者はこの技術が大好き(?)で、論文のリバイスなどでもレフェリーが、「ウエスタンブロッティングをやって確かめろ」ということは非常によくあります。で、やってみると、そのタンパク質の意外な修飾がわかったりして、「やっぱりやってみるべきだっわ」と思うこともしばしば。 しかし、この技術、面倒くさい。時間もかかる。 典型的には、タンパク質を泳動し、メンブレンに移し、ブロッキング(1hr) →一次抗体(1hr) →洗浄x3(5min) →二次抗体(1hr)→洗浄x3(5min) →発色/発光。 基本、サザンブロッティングやノーザンブロッティングなど、ブロッティング絡みの技術は面倒くさいのですが、これら2つはPCRその他の技術を使うことで、ほぼ代替が可能になりました。 だがウエスタンはそうはいかない。 ウエスタンブロッティングの画像を複製する捏造が一時期問題になりましたが、その大きな原因は「面倒くさい」事によるのは間違いないでしょう。 一方で、上記の作業、特にメンブレンに移してからの作業は自動化できそうな気がします。みんな面倒くさいと思っているのだから、そこにビジネスチャンスがあるはず。 企業は10年ほど前から自動ウエスタン装置を作りはじめました。 私は、「待ってました」とばかり発売された装置を購入し、トライし、あまりうまくいかないことを知り失望し、そして次に出た装置を購入し・・・ということを繰り返してきました。 結論から言うと、未だ、これだという自動装置にはたどり着かず、上記の「手動ウエスタン」を面倒クセェと思いながら日々行っているのです。 悔しいので、その失敗の歴史(?)をここに残しておきたいと思います。第一回目は、BenchPro 4100(Invitrogen)です。2009年に導入しました。 BenchPro4100 論文のリバイス、人手がなかったため導入。メンブレンを自動処理してくれます。使用説明の動画がこちらにあります。とりあえず導入当初は目的を果たしてくれ、論文用のデータを出してくれました。 ただ、2つ大きな問題が。 1つ目はウエスタンの結果があまり綺麗でないこと。抗体溶液が均等に行き渡らなかったり、洗浄が十分でないことが原因と思われます。 2つ目は消耗品。これをウエスタンブロッティング一回ごとに1つ使います。 BenchPro4100のでかい消耗品 使いまわしができないようになっていて(右の赤い印)、一枚あたり2000円程度。このコストをどうとらえるかということなのですが、大量のウエスタンをするとなると馬鹿になりません。 ・・・ということで結果として「お蔵入りマシーン」になってしまいました。この本体は、あまり人気がなかったようで2014年に生産終了となったようです。 (多分)第2回に続く ーー 追記:先程このエントリーを書こうと思って蔵から取り出してみたら、消耗品があと20回分程度あることがわかりました。このまま捨てるのは勿体無いので消耗品分は使ってみようと思い直しました。 Share on FacebookTweet(Visited 1,978 times, 1 visits this week) テクノロジー 実験結果