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A Blog for Yeast and Systems Biology

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2012-01-12

「生命科学者の伝記を読む」仲野 徹

恐らく著者ご本人のTwitterで存在を知り購入した。書籍を予約した直後の分子生物学会で、割引したものがいち早く売られていたのを見た時には少しショックだったが。

伝記マニアの著者が、伝記を読んでその内容をサマライズしつつ、伝記に書かれている人物を紹介する。伝記をサマライズしたものを読むくらいだったら、その伝記を読めばいいとなりそうなものなのだが、同じ著者が一貫して様々な伝記を解説するという事の良さがこの本には存分にある。単なるサマリーではなくて著者の見解もふんだんに盛り込まれているし楽しめる本だった。

適度にサマリーされているので、私の趣味の「半身浴読書」で一章ずつ読み進めるにはちょうど良い長さだった。

ただし、この本を読んで研究者としての自分の生き様を考えると少し寂しくなる。当たり前だが伝記に残るような人たちで、それと自分をくらべるなんてなんて図々しいやつだと思われるかもしれないが、それでも少しは自分の参考になるものを得たいと思ってもいいではないか。それがみんなレベルが違いすぎて「わたしはこの人物の生き様を学びたいな」となれないところが悲しい。

むしろそう言う事ではなくて、純粋に人生の面白さ、科学の面白さを感じながら、自分が日頃何気なく使っている言葉や概念、実験手法が、どんな人物によってどのように生み出されてきたのか、を知るという方向では、十分に楽しめる本であった。

 

現在の私がむしろ感嘆したのは、「現役の大学教授がよくもまあこれほどの本を書くことができるのだなぁ」である。これで研究もバリバリ教育もバリバリ雑用もバリバリとされているのだとしたら・・・この著者こそが伝記に残っていい。

 

最後にもう1つ。この本にたびたび出てくる「残念ながら絶版、ぜひ再版してほしい」という表現だが、その障害となっているものははなのだろうか?

今の世の中、手許に本があるのであればそれを裁断してスキャンして、いわゆる「自炊」すれば書籍のデジタル化、配布はほぼコストゼロである(自炊代行は一冊100円らしいが)。しかもそれが絶版となっているのであれば、配られたところで誰も損はしない。「もしその本が出版されて、売れたとしたら得られる利益を著作権者から奪っている」というのだとすると、それは出版しない著作権者の横暴ではないか?

また、特に研究用の書籍には絶版になっているがぜひ手に入れたい書籍もある。そう言う書籍は逆にオークション的なプロセスによって価格が高騰する。にもかかわらずその中古の書籍が売れてももう著作権者には利益は入らないだろう。

「権利」が何らかの足かせになっているのだと思うが、世の中の役には立つのだろうが売れそうにはない絶版本を世に出すための、何か合理的なシステムが構築される事を願うのである。

・・・それをこの本の著者にやってもらうというのにはさすがに無理があるとは思うが。

 

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