Metabolic cycling in single yeast cells from unsynchronized steady-state populations limited on glucose or phosphate.

Silverman SJ, Petti AA, Slavov N, Parsons L, Briehof R, Thiberge SY, Zenklusen D, Gandhi SJ, Larson DR, Singer RH, Botstein D.

Proc Natl Acad Sci U S A. 2010 Mar 24. [Epub ahead of print]PMID: 20335538

恥ずかしながら、この論文を読んで始めて「そうか!」と気づいたのだが、細胞内の代謝は、”Metabolic Incompatibility”(代謝不和合性)のジレンマを常に持っている。例えば、最も分かりやすい例では、ATPは細胞内で作られながら消費もされている。この両者の反応がまともに動くためには、当然何らかの方法で2つの反応が起こる「場」を隔てる必要がある。

細胞内の膜構造は、このためにしばしば用いられる。ミトコンドリアや葉緑体等はその最たる例であろう。

一方で、細胞は、Metabolic Oscillation(代謝振動)という現象によって、代謝系を時間によって連続的に変化させることによって代謝不和合性をさけることが知られている。これは、特に酵母細胞では、ケモスタットと呼ばれる連続培養系で、細胞が特定の密度以上になった時に観察される。この代謝振動では、非常に多くの遺伝子の発現が周期的に変化する。この代謝振動は、細胞に本来備わっている「時計」なのか、それとも単なる環境への適応が繰り返されることでおきる同調・振動なのかは、はっきりとした結論が出ていなかった(私は後者だと思っていた)。

酵母研究の大御所、Botstein氏らのグループから発表されたこの論文では、FISHを用いて1細胞レベルで転写産物を検出したところ、代謝不和合性をさけるためにそれぞれの遺伝子が周期的な変動を起こしている証拠が得られた。さらに、興味深いことに、この周期変動は、ケモスタットによって同調されていない培養系の、おのおのの細胞で個別におきていた。

つまり、代謝振動は、細胞に本来備わっている時計なのだ。

この振動がどのようなメカニズムでおきているのか、細胞周期のような別の振動系とどのような関係にあるのか・・・今後の解析が待たれる。

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