2010-05-11 Periodic cyclin-Cdk activity entrains an autonomous Cdc14 release oscillator. Lu Y, Cross FR. Cell. 2010 Apr 16;141(2):268-79. PMID: 20403323 酵母細胞周期のシステムバイオロジー的解析で他の追随を全く許さないFred Cross氏の新しい論文がCell誌に掲載された。 Cross氏は、マイクロ流路と巧妙に遺伝子操作した酵母を使って、微妙に遺伝子の発現量をコントロールした時の細胞の挙動を1細胞レベルで観察することで、次々と細胞周期の謎を解き明かしている。 今回の驚くべき発見は、これまでの「サイクリン依存性キナーゼ(CDK)が細胞周期のエンジンで、この活性の変化が歯車(Rachet)のように、細胞周期イベントを制御する」という「Rachetモデル」を覆し、「細胞周期イベントは、それぞれが独立に周期変動する機能を持っているが、それをCDKが同期させている」というものである。 これは、「フェーズロック(Phase lock)モデル」と呼ぶことができる。 確かにシアノバクテリアの概日リズムにも、独立の振動子が複数あることが分かってきている。細胞周期でもいくつかのイベントは、CDKとは独立に周期変動するという報告がたまってきていた。 本論文は、これらの発見を一気に統合してしまう、「新しい細胞周期観」のパラダイムを提供する報告である。 (Visited 180 times, 1 visits this week) システムバイオロジー 細胞周期 酵母