CREST「生命システムの動作原理と基盤技術」シンポジウムに参加して

科学技術振興機構の戦略的創造研究推進事業CRESTの「生命システムの動作原理と基盤技術」領域のシンポジウムが品川で行なわれ、同戦略目標の下で行なわれているさきがけ研究に参加していた私もポスター発表を行なった。

CREST9課題のうち、7課題が、もともと個別の生命現象への謎に根ざして始まった研究で、分子生物学的知識の蓄積に伴ってその現象のシステムとしての理解に到達しつつあるものであった。代表者は皆生物学者であるが、そこに理論家がうまくかみ合い、見事な「新しい」システムバイオロジーを構築していた。

「新しい」といったのは、一般的に考えられている、「網羅的データを取得し、それをコンピュータの力で解析する」というシステムバイオロジーではない、しかし明らかにシステムバイオロジーである研究だからだ。

もちろんこのような研究も、あるいはこのような研究こそがシステムバイオロジーの本質であったはずなのだが、なかなかまやかしでないシステム「バイオロジー」ができている研究例が、特に日本では少なかったのは間違いない事実である。

この戦略目標で行なわれているCRESTやさきがけ研究が、まっとうなシステムバイオロジーの潮流を作ることにかなり大きな推進力になったことは間違いない。

いわゆるシステムバイオロジーの「お祭り」は終ったように思うが、逆にシステムバイオロジーの枠組みはしっかりと根を下ろして、様々な生命システムの理解に新たな方向性を示しつつあると感じた。

「システムとしての理解」とは、分子生物学の潮流である「細かさ」の理解ではなく、生命現象を生み出している本質的な原理とは何かを見ることである。当初はこの「領域」が本当にシステムバイオロジーを推進するのかという疑問の声も聞こえたし、採択された研究は、確かにその時に抱かれていたシステムバイオロジーのイメージとは違うものが大半であった。

しかし、今にしてみれば上述の本質的な原理とは何かを追い求めることで、生命のシステムとしての理解に自ずとつながり、それがすなわちシステムバイオロジーの研究そのものとなっている。

このような視点で研究課題を選ばれた研究総括やアドバイザーのパースペクティブは多いに称賛されるべきだ。

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