遺伝子回路におけるネットワーク量補償の一般的メカニズム

A general mechanism for network-dosage compensation in gene circuits. 

van Oudenaardenによる、GALネットワーク解析シリーズ(?)の最新版。今度は「ネットワーク量補償」という概念を持ち込んできて、それを酵母のガラクトース感知システムで実験的に調べ、最後にネットワーク量補償を生み出すための最小ネットワークの構造を数学的に導きだしている。

いつもながら難解。

ネットワーク量補償とは、例えば、いくつかの遺伝子からなるネットワークのシグナル-レスポンス特性が、そこに含まれる遺伝子群のコピー数によって影響を受けないもののことを言う・・・のだそうだ。

例えば、酵母の一倍体と二倍体ではネットワーク量は2倍違うが、外部のガラクトース濃度に対する遺伝子発現の応答は両者でほとんど変わらない。

このシステムには4つの因子があるが、二倍体においてこれらを1つずつ壊し、一コピーにすると、影響が強く表れる因子とそうでないものがある。特に、GAL3とGAL80のコピー数を減らすと系に大きな影響がある。

これは恐らくこれらの因子の制御が蛋白質どうしの直接の結合によってなされているからであろう。すなわち、「ストイキオメトリーの乱れ」が系にとって最も脆弱な/感受性の高い部分である事を示している。

この論文では最後にこの問題を一般化し、ネットワーク量補償を生み出すための最小ネットワークとして、「正と負の因子それぞれ1つずつからなり、それぞれが1:1のストイキオメトリーで相互作用し、一方だけが直接転写に影響を与える」という条件が必要である事を数学的に導きだしている。

私たちも昨年の論文で発表したように、「ストイキオメトリーによる制御」はネットワーク上の脆弱点になりうるが、これは「ネットワーク量補償」のためには必要不可欠な要素である。したがって、これらはトレードオフの関係だと考える事ができよう。

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