必須な遺伝子と病気の原因遺伝子

先日出席した会議でとある先生が話していた事だが、私も以前自分のウェブページにエッセイとして書いていた事だったのでここに再掲する(内容は多少編集した)。

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ある学会で、ある先生が言った。「私たちが大腸菌で扱っているこの遺伝子は、ヒトの病気の遺伝子として知られています。しかし、とても不思議な事に、大腸菌の生命活動には必須ではないのです。」

これはよく考えてみると、全く不思議な事ではない。必須の遺伝子が壊れたら、ヒトは生まれてこない。したがって病気の原因となる遺伝子は、壊れても大丈夫な必須でない遺伝子なのだ。逆に言うと、必須でないから病気の原因遺伝子となりうるのだ。

大腸菌のような微生物で、壊しても一見なんの問題も起こさない遺伝子はたくさんある。ただ私たちは、その遺伝子が壊れた事によって微生物が受けている不利益を見る手段をもっていないだけなのだ。ヒトは、命に関わらなくても、生活に支障をきたすような病気であれば、その不都合を訴える。だから病気だとわかるのだ。

2008年に、酵母のゲノムにある約6000の遺伝子のうち、3%を除く遺伝子が、何らかの生育条件下(この論文では様々な薬剤投与下)で、酵母の生命活動を正常に維持するために必要だという論文が発表された(下記)。

ヒトにとっては、生命活動に必須でないが、様々な生活環境で生命活動を正常に維持する遺伝子のすべてが病気の原因遺伝子となりうるはずである。

 

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