Bioneerで売っている分裂酵母の破壊株の注意点

分裂酵母では、2010年にめでたく全遺伝子(98.4%)の破壊株が完成したという報告がなされました。

この破壊株とそのセットは、Bioneerという韓国の会社から購入することができます。

ちなみに、これ以前はMSテクノシステムという会社が代理店をやっていて、2007年当時ですが直接買ったら1株$200-のものが、¥30,000-で売られていました。ぼったくりといえなくはないのですが、代理店を辞めてしまったという事はこれでも採算が取れなかったのかもしれません。

現在は直販で購入するしかなくなったのですが、手続きは面倒ですが円高が進んでいますのでかなりお得な買い物になっています(ただ、なぜか一度FedExの送料1万円以上とられたことがありました)。

話がそれましたが、それなりの値段で売っているこの分裂酵母破壊株ですが、実は「遺伝子が破壊されていない」という事がしばしばあるようです。つい先日も知り合いが購入した株が遺伝子破壊がきちんとできておらず、野生型のアリルが残っている状態だったそうで、何度かBioneerとやり取りしたが結局自分で作り直すはめになったとの事でした。

私たちも自分で破壊株をこしらえる時に、遺伝子破壊のカセットは確かにゲノム上に入っているのだけれど、なぜか野生型のアリルが残ってしまうという現象に出くわしており、分裂酵母が持っている問題点なのかもしれません。

さて、分裂酵母の世界では有名なForsburg氏のホームページには、”Bioneer Reports”と称して、破壊株として売られているのにきちんと遺伝子が壊れていないものをレポートするページがあります。

「いやこれ本来Bioneerが作るべきページだろう」とは思うのですが、こういう科学者コミュニティの力も必要ですよね。実際、このページのレポートはBioneerに報告されてちゃんと株が置き換えられているようです。

まず私たちが注意しておかなければならない事は、完成したと称されている遺伝子破壊株のセットで、これだけの遺伝子が破壊されていなかったという事でしょう。

それでお金とっていいんですか・・・ともいいたくなりますが、とある有名な抗体販売会社では、使ってみるまで特異性が分からないという物もありますので(実際うちの経験では使えたのは50%でした)、しょうがないのかもしれません。

そこは商売として「信頼」を大事にしているかどうかでしょう。私たち科学者も自分のデータを発表する時には注意したいものです。

というような事を書いてふと気づいたのですが、私たちも出芽酵母の6000個の遺伝子をそれぞれクローンしたプラスミドライブラリーをナショナルバイオリソースプロジェクトに寄託して、研究者に分与して頂くようにしています

これらの1つ1つに誤りがないかといわれると、そこまでの正確性があると補償できません。ただ、多少エラーがあるリソースでも使う事で得られるものが大きいのであれば、それを公開し分与する意義があると思い、寄託している次第です。ちなみに、私たちはお金はもらっていません。

問題があれば、レポートしてください。ただちに改善できるかどうかは分かりませんが、「こんな問題がある」という事を共有するのは大事な事だと思いますので。

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