Skip to content
酵母とシステムバイオロジー
酵母とシステムバイオロジー

A Blog for Yeast and Systems Biology

  • このサイトについて
  • 新着記事
  • サイトマップ
酵母とシステムバイオロジー

A Blog for Yeast and Systems Biology

2011-12-12

ジンクピリチオンの分子生物学的な効果

いよいよ今週水曜日に、「ジンクピリチオン祭り in 分子生物学会」がひらかれます。私は進行をまかされていて、Twitterでもジンクピリチオンワード募集を行なっています。

「ジンクピリチオン」という言葉でTweetを集めていると、時折、「ジンクピリチオンという分子のもつ抗菌作用のすばらしさが置き去りにされて、言葉遊びの対象にされている事に違和感を覚える」というTweetがあります。

私も子供の頃のメリットシャンプーのCMで「フケかゆみに効くジンクピリチオン配合」という言葉はおぼえており、その作用についてはぼんやりとしか理解していませんでした。

ジンクピリチオンの抗菌作用について知るに至って、「抗菌作用と頭皮のフケ・かゆみにいったいどんな関係があるんだ?」という至って当然の「謎」が浮かんできたのです。

で、ちょっとGoogleってみたら、すぐにこういうページに行き当たりました。フケの原因って、頭皮のカビの繁殖によるものだったんですね。

このカビは、Malassezia globosaという酵母型のカビの一種のようです。

さて、ジンクピリチオンの抗菌効果のメカニズムについては最近まであまりよくわかっていなかったのだそうで、近年、我が(?)S. cerevisiaeを用いてその作用機構が調べられています。

ゲノムワイドなマイクロアレイ解析(1)とか、ノックアウトコレクションを使った研究(2)が行なわれていて、鉄の代謝異常を引き起こすことが抗菌作用になっているという証拠が得られているようです。

というわけで、「ジンクピリチオン効果」の企画をやっているうちに、「ジンクピリチオンの効果」にたどり着いた、というエントリーでした。

余談ですが、私にとって驚きというか、すごい偶然というか、1の論文を書かれた先生は、ついこないだ共同で科研費の申請書を書いた方でした。今度お会いしたらジンクピリチオンの効果についていろいろ尋ねてみたいと思います。

ーー

参考文献

1. DNA microarray analysis suggests that zinc pyrithione causes iron starvation to the yeast Saccharomyces cerevisiae. Yasokawa D, Murata S, Iwahashi Y, Kitagawa E, Kishi K, Okumura Y, Iwahashi H. J Biosci Bioeng. 2010 May;109(5):479-86. Epub 2009 Nov 22.

2. The antifungal mechanism of action of zinc pyrithione. Reeder NL, Xu J, Youngquist RS, Schwartz JR, Rust RC, Saunders CW. Br J Dermatol. 2011 Oct;165 Suppl 2:9-12. doi: 10.1111/j.1365-2133.2011.10571.x.

 

facebookShare on Facebook
TwitterTweet
(Visited 2,218 times, 5 visits this week)
エッセイ 用語解説 酵母

投稿ナビゲーション

Previous post
Next post

Related Posts

人物

大隅先生ノーベル賞受賞記念、「酵母 vs ウーパールーパースライドを公開します。

2016-10-042017-08-09

昨年の講義の補講で、講義を分担…

Read More
テクノロジー

酵母の遺伝子ライブラリーあれこれ (1)

2017-11-282018-02-15

このエントリー(シリーズ)では…

Read More

ゲノム重複とACE2の変異により、出芽酵母は多細胞化し早く沈殿するように進化する。

2013-11-06

Genome duplicat…

Read More

コメントを残す コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です

one × one =

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください。

人気の記事

  • 出芽酵母と分裂酵母の基本知識 (128)
  • 論文の図とレジェンドに見る悪しき伝統 (87)
  • 大腸菌の形質転換ではヒートショックも後培養もいらない(こともある) (49)
  • ナノポアシーケンサーMinIONインプレッション (69)
  • シリーズ過剰発現・第5回「過剰発現に用いられるプロモーター」 (84)
  • きっとうまく行くプレゼンスライドの作り方 (56)
  • シリーズ過剰発現・第1回「過剰発現とは?」 (17)
  • 岐路に立つ酵母の栄養要求性マーカー (30)
  • “KOD”ポリメラーゼに対する認識の世代間格差? (24)
  • 出芽酵母の発現ベクターに使えるプロモーターの特性評価 (19)
©2025 酵母とシステムバイオロジー | WordPress Theme by SuperbThemes