2010-04-292011-04-28 システム生物学がわかる!ーセルイラストレータを使ってみよう システム生物学がわかる!―セルイラストレータを使ってみよう 作者: 土井淳/長崎正朗/斉藤あゆむ/松野浩嗣/宮野悟 出版社/メーカー: 共立出版 発売日: 2007/07/10 メディア: 単行本 クリック: 19回 この商品を含むブログ (2件) を見る 「システムバイオロジー=シミュレーション」という(間違った?)イメージを持っている人も多いと思う(とはいえ私も最初はそう思っていたのだが・・・)。ということで、「シミュレーションができれば、システム生物学が分かるのだ!」というコンセプトから、この本のタイトルが決まったのかどうかは知らないが、そういう本である。 つまり、「システムバイオロジーがわかる」、というよりは、システムバイオロジーで行なわれているシミュレーションの1つが自分の手でできるようになる、いってみれば(Cell Illustratorという)ソフトウェアの使い方説明書である。 このCell Illustratorで使われているシミュレーション手法は、ペトリネットと呼ばれるものの改良版で、「数式(微分方程式)を使わなくても良い」というのが(生物学者にとっての)ウリである。実際にモデリングを行なう時には微分方程式を使うのと大差ないのだが、数学アレルギーの人間にとっては朗報ということになるのだろう。 このペトリネットという手法は、確かに生物学者の細胞内ネットワークのイメージに近い形でのシミュレーションを可能にする。そういう意味で、生物学者がダイナミックシミュレーションをとにかくやってみたいというのであれば、格好のイントロダクションになるだろう。 上にも述べたように、モデリングする時の作業は、実際には微分方程式系でモデルを記述するフリーのソフトウェア達と大差ないのだが、この本のような解説書もあるし、正規版は有料なのでサポートもあるしということで、「よう分からんけどはじめてみたい」という人にはうってつけなのだと思う。 ただ、このシミュレーション手法は、本質的に計算精度に問題があるし、微分方程式系で培われた分岐解析等には向いていないので、本物の(?)理論系システムバイオロジストが使っているのは見たことがない。Cell Illustratorでこつをつかんでから、微分方程式系のシミュレーションに入るというのがベストな気がする。 (Visited 313 times, 1 visits this week) システムバイオロジー 書籍