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2011-05-16

最小のCDK制御ネットワークによる細胞周期の駆動

Driving the cell cycle with a minimal CDK control … [Nature. 2010] – PubMed result.

昨年出版された論文ではあるが、このブログで取り上げていないので取り上げる。ノーベル賞受賞者のPaul Nurseのグループからの論文である。

細胞周期*は、CDK(サイクリン依存性キナーゼ)の活性の周期的な変動によって起こされる。この活性変動は、CDKのコンポーネントであるサイクリンの分解と、CDKのチロシンのリン酸化・脱リン酸化によって達成される。

多くの真核生物では、CDKやサイクリンが複数種存在しており、細胞周期の様々な時期で活性化する。つまり複数のCDKに対する複数のサイクリンの分解、それぞれのチロシンリン酸化・脱リン酸化、という多重の制御ネットワークがあると言うことになる。

分裂酵母では、CDKは一種類。だが、サイクリンは4つの遺伝子にコードされている。このうち、cdc13だけが生存に必須であることから、他のサイクリンは細胞周期の進行には必要ないということはわかっていた。

今回の論文では、Cdc13とCDKを一つの蛋白質にしてしまい(融合)、Cdc13のプロモーターにより発現させた。またCDKのチロシンリン酸化部位をリン酸化できないアミノ酸に置換した。一種類のCDK-サイクリンが分解でしか制御出来ないような細胞を人工的に作ったというわけだ。

その結果は・・・野生株とほとんど変わらない細胞周期を達成した。

つまり、絡み合った細胞周期ネットワークの外側を引きはがし、最小ネットワークを丸裸にしても細胞周期は一見正常に維持されると言うことである。そして、これがおそらくもっとも「原始的な」細胞周期のネットワークだったのだろう。

私が興味があるのは、この最小ネットワークのロバストネスである。私は、ロバストネスは一般的に生命システムの複雑さから生まれる(あるいは、生命システムの複雑さは、ロバストネスを付加するためにある)と考えている。このシステムはそれを検証するためのよいモデルとなるだろう。

 

*細胞の成長、染色体の複製、染色体の娘細胞への分配と細胞分裂といった一連のイベントを経て細胞が倍加する現象

 

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システムバイオロジー 細胞周期 論文 酵母

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