Skip to content
酵母とシステムバイオロジー
酵母とシステムバイオロジー

A Blog for Yeast and Systems Biology

  • このサイトについて
  • 新着記事
  • サイトマップ
酵母とシステムバイオロジー

A Blog for Yeast and Systems Biology

2016-03-26

遺伝子が発現しない?

最近、Twitterのタイムラインに「発現小町」というネタが流れてきました。

「この遺伝子が全然発現していないようなのですがいったいどうなっているのでしょうか」「あ、ここにストップコドンが入っちゃってます。」「ご指摘,ありがとうございました。」

という会話です。もちろん、「発言小町」をもじったジョークなのは間違いないでしょう。

ですが、実際に「発現小町」があったとして、上記の質問が出された時の答えはどうなるでしょうか?

ここで、実は本質的に注意しなければならないことがまずあります。「発現」という言葉の使い方です。従来、「発現」とは「ある形質が表現型に現れている状態」を指します。「形質の発現」という使い方が本来の使い方です。

それがいつの間にか、遺伝子・タンパク質に対して発現という表現が使えるようになりました。そうなるとややこしくなるのが、「遺伝子の発現」と「タンパク質の発現」という表現です。発言者はこれらを区別しているのか、それとも同じと捉えているのか?

少し前からよく使われる「(遺伝子)発現解析」という言葉は、多くの場合、マイクロアレイやRNAseqによる転写産物の解析を意味しています。遺伝子が転写されmRNAにまでなっている状態で「発現」というわけです。タンパク質になっていなくてもよいわけです。

でも質問に対する答えから予測するに、上記の「発現しない」は、明らかに「タンパク質が作られていない」事を意味しているように思います。この場合の「発現」には、転写+翻訳の過程が含まれています。結果として「ストップコドンが入っちゃって」たということは、翻訳の過程がうまく行かなかったということのようです。

実際問題として、標的のタンパク質が作られない場合には、「ストップコドンが入っている」という単純な理由だけではなく無数の理由が考えられます。その際、単純に「発現しない」という言葉で終わらせるのではなく、遺伝子構造は確かめたのか、mRNAまでは作られているのか、作られたタンパク質の検出法は確かなのか、などなどいろいろと確かめなければならないことがあります。

私たちの研究室では、「標的のタンパク質を酵母内で作れるだけ作らせる」という研究を行っていますが、その際にまったく理由はわからないけれども全然作られない(発現しない)タンパク質もたくさんあります。

ですので、単純に「全然発現しないのですがいったいどうなっているのでしょうか?」という質問には、ほとんど答えられないというのが正直な感想です。

「私の作ったプログラムが上手く動かないのですが一体どうなっているのでしょうか?」という(よくある)質問と同じで、

「そんなもん問題を1つずつ切り分けて、1つずつ解決してくしかないよ」

という(よくある)答えが帰ってくるだけでしょう。

 

facebookShare on Facebook
TwitterTweet
(Visited 5,007 times, 4 visits this week)
エッセイ テクノロジー 用語解説

投稿ナビゲーション

Previous post
Next post

Related Posts

「ジンクピリチオン祭り in 分子生物学会」前夜祭 on Twitter

2011-11-21

今回は宣伝です。 以前このブロ…

Read More
テクノロジー

ミトコンドリアの進化に向けた酵母の細胞内共生体の作成

2018-12-212018-12-29

Engineering yea…

Read More
ソフトウェア

エクセルのグラフ機能で電気泳動のバンドサイズを評価する

2015-02-272017-08-09

多数のサイズの違うサンプルを電…

Read More

コメントを残す コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です

2 × one =

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください。

人気の記事

  • 出芽酵母と分裂酵母の基本知識 (75)
  • 論文の図とレジェンドに見る悪しき伝統 (62)
  • ナノポアシーケンサーMinIONインプレッション (33)
  • 大腸菌の形質転換ではヒートショックも後培養もいらない(こともある) (20)
  • 自然界から酵母をとってくる(前編) (17)
  • “KOD”ポリメラーゼに対する認識の世代間格差? (11)
  • シリーズ過剰発現・第5回「過剰発現に用いられるプロモーター」 (9)
  • 「赤色蛍光タンパク質 yEmRFP/mCherry が切れちゃう謎」が解決した (16)
  • 岐路に立つ酵母の栄養要求性マーカー (14)
  • 「パスツール効果」なんて存在しない? (4)
©2026 酵母とシステムバイオロジー | WordPress Theme by SuperbThemes