2020-10-302020-10-30 追悼:Angelika Amon氏 昨晩、Twitterでショックなニュースが飛び込んできました。MIT教授のAngelika Amon氏がお亡くなりになったと。このブログの趣旨とは少し異なりますが、私たちの研究に大きな影響を与えた、そしてこれからも与えるはずだったAmon氏への追悼のエントリーをここに残させていただきます。 私は、Amon氏は現代で最も偉大な研究者の1人だと思っています。私の研究に影響を与えている人物として、唯一無二の偉大な研究者として尊敬しています。彼女とはメールのやりとりをしたことがあり、共著の論文もあります。しかし一度も直接会って話はしたことはなく、彼女の活躍は論文でしか知りません。次々と発表される彼女の作品達は彼女の偉大さを知らしめるに十分でした。彼女は私とほぼ同年代です。これから彼女の研究はさらに大きく展開していくはずでした。私は彼女の作品からこれからも沢山のことを学ぶのだろうと思っていました。 正直に言うと、私はAmon氏に畏怖の念を抱いており、共著の論文が出版された学会会場でも話しかけることはできませんでした。それほどの偉大さを感じていたのです。だからこそ、偉大だと信じる彼女に私たちの研究を認めてもらうことを一つの目標にして私は日々の研究を行ってきました。いつか堂々と対面で議論できる日を目指して。・・・その機会が永遠に失われたことへの大きな喪失感を感じます。 ——— 以下に、Amon氏との思い出を残しておきたいと思います。彼女の存在はこれからも私の中に、そして科学に残り続けるはずです。 gTOW6000論文解説のページ:この論文のレビューをしてくださったのがAmon氏。そして、この第4章に書かれている「4. 掟破りのオファー」をされたAA氏がAmon氏です。簡単にいうと、(匿名で)レビューアーをしていたAmon氏が、共同研究を持ちかけてきたというものです。このオファーは、以下の共著の論文につながりました。 Bonney ME, Moriya H, Amon A., Aneuploid proliferation defects in yeast are not driven by copy number changes of a few dosage-sensitive genes., Genes Dev. 2015 May 1;29(9):898-903. 実はこの論文、私自身もちょっと荒唐無稽かもしれないと思っていた私の仮説を、Amon氏が真っ向から否定した論文でもあるのです。・・・複雑な状況ではあるのですが、それも大事なサイエンスの一歩でしょう。 以下はAmon氏に関係するブログのエントリーです。このブログで最も多く登場した人物です。それだけ影響力のある論文を発表されているということです。 酵母での配偶子形成は、老化による細胞のダメージを取り除き、寿命をリセットする “Working in yeast… the rate-limiting step is your brain.” 異数性細胞は低浸透圧様のストレスを受けている(追記あり) 野生の酵母が異数性に強い理由(というより実験室酵母が異数性に弱い理由)が判明した シリーズ過剰発現・第6回「異数体の解析」 (Visited 1,378 times, 2 visits this week) 人物 酵母